大切にしよう!輪行制度自由化から30年


自転車ツーリングの行動範囲を格段に広げてくれるのが輪行です。自転車を輪行袋に入れれば鉄道、飛行機、バスなどの公共交通機関を使って移動することができます。しかも現在はJRやほとんどの私鉄で無料で乗せてもらうことができます。飛行機も一般の預け入れ荷物と同じ扱いになるので、有料となる20kgを超えない限り無料で預かってもらえます。


この輪行制度は、旧国鉄時代の営業規則で日本サイクリング協会に加入していることが条件だった時代があります。また県都道府県ごとのサイクリング協会に加入できるのは、個人ではなくクラブ単位と規定している協会もあって、誰でも自由に輪行することができなかったんですね。

ネットで何でも申し込める時代ではなかったので、北海道だと協会のある札幌まで網走や釧路からでもわざわざ出かける必要があったそうです。
この規則撤廃に動いていただいたのが、サイクリング協会とたくさんの自転車愛好者たち、そして参議院議員だった小笠原貞子さんという方です。


輪行自由化ついて1984年のニューサイクリング誌でその経緯が書かれていますので、一部引用してみたいと思います。

第101国会・1984年6月 質問者小笠原貞子
「スキー用具とか登山用具、それからこのごろはサーフボード、ゴルフの用具などはみんな自由なんですね。そうすると今のサイクリング愛好者は10万人なわけですよ。だから、みんなが希望していることは手回り品の200円の切符を買うことで、協会の許可証が必要という不便をなくして欲しいということは当然だと思うんです」

国鉄の長期債務とは違うんですから、これは非常に簡単に解決できみんなに喜ばれることなんだから何とかして欲しいと切実な意向を代弁してのお願いです。とにかく早く、特にこれから季節でございますから、国鉄はよくやってくれたといわれなきゃお客さんは乗りませんからね。小さいようだけれども大事にしてご努力いただきたいと思います」
そしてこの年の10月1日に輪行制度が自由化されました。

ニューサイクリンング誌11月号 今井彬編集長のコメント
輪行制度自由化、今後の問題>
「自転車は歩道通行可となっているが、歩行者にベルを鳴らすなど歩行者優先のマナーが確立していない。この現状を見ると輪行車内持ち込みを当然の権利として人の迷惑を省りみないトラブルが起こる可能性が考えられる。マナーの面で気配りの足りない人には、アドバイスなり忠告することがあるような気がしています。」
輪行袋はいざという時には頭からすっぽり被って雷雨を避けたりもできるので、自転車乗りにとってアラジンの魔法のじゅうたん、あるいは孫悟空の筋斗雲みたいに便利で心強い相棒です。最近の自転車ブームで、輪行袋を担いで乗り込む自転車乗りを見かけることが多くなりました。

JRでは輪行は自転車を袋に完全に収納した状態として大きさも規定していますが、最近サドルやホイールなど自転車の一部がはみ出すタイプや、車輪を外さない巨大な輪行袋が市販されていて気になるところです。
JRおでかけネット


1月からの初めての九州生活、さっそく出張でJR九州のたくさんの種類の車両に乗りながら、週末のツーリングを考えてワクワクしています。


もともとはマナー順守のために協会許可が必要とされていた制度でしたが、せっかくの自由化がこれからも続くように、改めてマナーに気を付けて楽しんでゆこうと思います。