うなぎ屋さんの思い出

先週から毎日収穫したゴーヤ、シシトウ、甘とうがらしを食べてます。 そんな中、みなさんのブログのステーキ、寿司に高級ランチ、土用の丑うな重と見ているうちに3年前に行った鰻屋さんのことを思い出しました。

 

40年前の新入社員の時に初めて連れて行ってもらった小田原駅の隣の鴨宮駅近くの「正直家」さん、知る人ぞ知る名店です。先輩から後輩へと代々伝えられ、横浜勤務の10年間は毎年必ず行っていました。 まだやってるのかなあと懐かしくなり3年前に元同僚たちと久しぶりに行ってきました。

 

店主のおやじさんが体調を崩して入院されていたと聞いてしばらく予約が取れず、久しぶりにお会いするとさすが年を取られたなあと感じる足取りでしたが、厨房に入り炭をおこし包丁を研ぎ始めると背筋がびしっと伸びてオーラがビリビリと伝わって来ました。

 

厨房の準備が整うと生け簀からザルに入れて来た鰻を見せて、これでよいかと聞かれるのでもちろん「お願いします」と言うのがお決まりの儀式です。 気合十分のおやじさんが鰻が鮮やかな鰻捌きで串打ちとなりますが、その時に心臓を入れた日本酒が振る舞われるのでこれを一気に飲み干します。

 

鰻を蒸している間に、まずは一匹一匹丁寧に捌いたドジョウを使った柳川鍋が登場します。大ぶりでまったく土臭さのなく柔らか~い身がたまらなく美味しいです。

 

ちなみにこの時点で席に座ってから1時間半以上が経過しています。ええ~~っと思いますよね。 お客さんの顔を見てから準備を始めるというのがこの店の流儀で、○時に行くから作っといてねはNG、途中退席も許されません。(笑)

おやじさんが鰻を捌くのを合図に女将さんは鰻重用のご飯を研ぎ始め、ひと段落すると名物の世間話が始まるので時間を持て余すことはありません。

このお店は一見さんが来ることはまずないのですが、稀に知らずに入ってしまったお客さんが痺れを切らして「まだですか」とうっかり言ってしまい退場になったこともあるようです。

 

2時間半が経過したところで待望の白焼きが登場。極上の生わさびを醤油に溶いて頂きますがこれがほんとに美味しい。フワッと仕上げられ、口に入れた瞬間に溶けてしまう柔らかさです。 常連さんたちは、どんなに待たされようとこのおいしさを知っているのでひたすら待ち続けます。

 

肝吸いも漬物もほんとおいしい!

 

そして3時間半近く経過したところで蒲焼登場。 以前は鰻重にしていましたが、さすがに齢を重ねて食べる量が減っているので蒲焼だけ頂きました。 あ~幸せ!!!

 

この年に2度食べに行きおやじさんの厨房での元気な様子を見て一安心していたのですが、残念ながら2年後に閉店となってしまいました。 もうこの鰻を食べることが出来ないのは残念でなりませんが、いつも一生懸命、真剣勝負で魂を込めて作っていただいた鰻は一生忘れることができない味です。